エンタープライズ その他 2015年4月22日(水) 15時00分
パテを焼く台座のキズも確認する
パテを焼く台座のキズも確認する マクドナルド、フードセーフティチェックリスト ネジのゆるみにも注意 マクドナルド店舗の臨時衛生検査 マクドナルド店舗の臨時衛生検査 使用を禁止されている金属たわしが見つかった マクドナルド店舗の臨時衛生検査 マクドナルド店舗の臨時衛生検査
マクドナルド
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カップ麺からコンビニフード、そしてハンバーガーと相次ぐ異物混入の報道。製造・販売を停止したメーカーもある。今回、マクドナルドの首都圏某店舗で行なわれた検査に同行することができた。

食品企業としては、もちろん故意に異物を混入させることはないが、ヒューマンエラーというのはどうしても発生してしまう。それを防ぐために活躍しているのが「第三者検査機関」による検査だ。マクドナルドの場合、複数の検査機関が入っており、取材時はコロナ技研工業が検査に当たった。マクドナルドの検査に媒体が同行するのは初めてだ。

第三者検査機関による検査は、マクドナルドが独自に定める食品衛生についてのルールにのっとり、行なわれる。年1回、全店で抜き打ち検査が行なわれているが、今回の検査は異物混入防止対策にフォーカスした臨時衛生検査となっている。臨時衛生検査も全店で行なわれる予定で、もちろん現場には事前に実施予定は知らされてはいない。ちなみに衛生検査員というと白衣を連想するが、マクドナルドでは通常営業中の店舗で検査を行うため、来客がびっくりしないよう目立たぬ服装で行なう。帽子とエプロンの着用は必須だ。

検査が始まると、担当者が手際よく調理場を確認していく。異物混入の原因となる、棚のネジのゆるみや棚奥の状態。そして調理器具の状態を細かく見ていく。問題がある箇所は写真を撮り、後日フィードバックする。今回の店舗では、ネジのゆるみは大丈夫であったものの、金属たわしや、スパチュラ(金属のヘラ)の不良が見つかった。

まず金属たわしについては、マクドナルドは厨房内での使用を禁止している。たとえ使わなくとも、調理場のなかにあるだけでNGだ。そしてスパチュラには先の部分に小さなヘコミが見つかった。パティを焼く際にスパチュラを使うが、なにかの衝撃で凹んで歪んだ部分が欠落する可能性があるし、パテを裏返す際には、その歪みが鉄板を傷つける可能性があるからだ。

マクドナルドの担当者は「ルールを設けることはできるが、きちんと実施されているかは、現場を確認しないと分からない。そして、実施状況の確認をより確実にするため、内部だけではなく第三者検査機関の専門の方にもお願いしている。検査は、今回の店舗だけではなく、国内全店舗で実施する。もし不適合があれば再検査を実施し、より確実なものにしていく」と話した。

また、検査に立ち会った現場スタッフ(クルー)のリーダーは「検査があると気が引き締まる。フードセーフティが重要なことは認識しているが、スタッフに四六時中注意できるかというと、現実的にはそうでない時も出てしまう。再教育という意味でも、こういった検査は重要だ」と語った。

マクドナルドは、フードセーフティについて独自に厳しい基準を設けている。それは他社の検査も担当しているコロナ技研工業の担当者も驚くほど細かいものだという。しかし、今回の金属たわしのように、完全には防げないことも出てくる。金属たわしは器具をきれいにしたいと、現場が良かれと思った工夫だったという。本来使うべき道具があるのだが、全店検査は意識の共通化、水準の維持も目的としている。

現在、非常に注目度の高い食の安全の問題だが、メディアが過敏になっている面もあり、SNSの情報を報道機関が追うようなこともある。メディアが取りあげると、今度は一般の人がまたそれに反応してしまう。例えばマクドナルドでは、原料に使われている胡椒の粒でも異物ととらえて問い合わせがあるとのことで、企業は混乱しがちだ。

コロナ技研工業の担当者は「例えば機械による作業でも、どうしてもエラーは出てしまう。ルールをどんなに厳しくしても、人間が作業している限り、どうしても事故をゼロにはできない。しかし、マクドナルドの場合は過去の事件以降、業界で最も細かいといえる基準を設けている」と話す。

コロナ技研工業の担当者は「現在の食の安全は、一昔前よりも大幅に改善されている。それは外部検査機関だけではなく、企業努力もあって確保されている」と話していた。

2015.04.21 ニュース
異物混入を未然に防ぐ「第三者機関」立ち入り検査って?マクドナルドの検査に密着取材!

 昨年末から今年にかけて、食品への異物混入が相次いで報じられました。まるか食品の「ペヤングソース焼きそば」、マクドナルドのハンバーガーやチキンナゲット、日清食品「日清スパ王プレミアム」などなど……。

 そこで、注目を集めているのが衛生検査を行う「第三者機関」です。文字通り”公平な第三者”という立場から、異物の鑑定や、店舗衛生検査によって食中毒防止や異物混入防止策が適切に講じられているか審査する専門家集団なのだそう。果たして、その実態は?

⇒【写真】はコチラ http://joshi-spa.jp/?attachment_id=238855

そもそも「第三者機関」って何?

「検査員のバックグラウンドはさまざまで、食品衛生の知識を持ち、訓練を受けた者です。私自身は保健所OBですが、まったく分野が異なる企業出身の人もいますし、年齢もバラバラ。企業が設定した検査項目に基づき、キッチンにおける異物混入対策や衛生管理がなされているかどうかを調べます」

 こう教えてくれたのは、第三者機関のひとつであるコロナ技研工業の鈴木さん。

 ここのところの異物混入騒動で問い合わせや取扱件数は当然ながら増加していると言います。鈴木さんはこの道、15年以上になるという大ベテラン。現場では一体どのような検査が行われているのでしょうか。マクドナルドの臨時衛生検査に同行させてもらえることになりました!

マクドナルド都内某店の厨房
異物混入を受けて全店を臨時衛生検査

 鈴木さんが店舗を訪れたのは午後3時頃。店長に声をかけ、バックヤードで着替えるところからスタートします。マクドナルドのエプロンを身につけ、クルー帽をかぶったら準備完了。キッチンに入る前に粘着クリーナーでシャツなどについたホコリをとり、ひじまで念入りに洗いします。

手の洗い方も細かく決まりがある
 鈴木さんの手には144項目の細かいチェックリストが。項目は、「マクドナルドが自主基準と法律やガイドラインから保健所等と技術交流して作成したもの」で、これに基づいて日々店舗の自己点検と、第三者機関の定期外部衛生検査(各店約2時間)を行っているそうです。

 今回の臨時衛生検査では、「異物混入対策」に絞った40項目の抜き打ち検査(各店約30分)を全店舗で行います。コロナ技研工業を含む4社で、約3000店を回るので、鈴木さんも大忙しだとか。

店内にはクルー用に様々な”衛生マニュアル”や、誰がいつ手を洗ったかの表などが貼られている
 まず、鈴木さんがチェックしたのは調理器具などを洗浄するためのブラシ類。切れ毛や破損、変形がないかを一つひとつ確認していきます。本来、定期的に新品に取り替えるものですが、万が一古いものが使われていると、抜け毛や切れ毛による異物混入の原因につながると言います。

ブラシの毛が抜けて混入しないようチェック
 次に取り出したのはジュースなどを計る軽量カップ。プラスチック製品は、異物混入の原因となるヒビや欠けをチェック。棚に入っているものをやはり一個ずつ取り出し、念入りに調べます。

プラスチックが割れて入ったら大変なことに
 トレイなどを洗浄する機械や業務用冷蔵庫では、主に連結部にあるゴム製のパッキンやねじをチェック。古くなって劣化したゴムは割れやすくなり、その破片が異物混入の原因に。また、ゆるんだねじがないかどうかも重要な検査項目です。

トレイ類を高温で洗浄する設備

ボルトの緩みがないかチェック
 ドリンクマシーンなど細部が見えづらいものは、ポケットから取り出した携帯用ライトを当てながらチェック。ヒビ割れや汚れもチェックします。

 また、コンパクトデジタルカメラも検査員の必須アイテム。検査をしながら、キッチンやアイテムの状況を次々と写真におさめます。これはのちほど、写真付きレポートとして本部に提出するのだそう。

 ハンバーグなどを焼くヘラはヘラ先の破損や反り具合、突起などをチェック。揚げ物用のカゴはワイヤー部分に注目。ワイヤーがゆがんでいたり、切れている部分があった場合は店長に交換を提案するそう。もともと頑丈なつくりなのですぐどうこうということはなくても、何かのはずみでワイヤーが折れて異物になる原因を早めに回避するのだとか。

揚げ物用のワイヤーがササくれ立ってないかチェック
 この他にも、紙パックやトレイなどの保管状況(ホコリや虫が入らないようビニールの口を閉じているか、など)、油脂を含む汚水が排水管に流れ込むのを防ぐ「グリストラップ」の清掃状況、ゴミの捨て方に至るまでくまなくチェック。

備品の入ったビニールの口は閉じる
こんな姑がいたら嫌だろうな……

 最後に、検査結果を店長にフィードバックします。鈴木さんから「揚げ物用カゴのワイヤーが切れているところが一カ所あったので早めに取り替えるといいですね。それ以外は問題ありません」と言われ、店長もホッとした様子でした。

 それにしても、ドラマでよく見る“神経質なお姑さん”もびっくりのすさまじいチェックぶりでした。うちの台所なんか絶対見せたくないと冷や汗をかく思いでしたが、飲食店はどこもこんなチェックをしているんでしょうか……。

店舗で毎日記録する衛生・安全チェックリスト

中はこんな感じ
「異物混入を防ぐために見るべきポイントは基本、どこも同じです。ただ、マクドナルドは食中毒対策や記録管理を徹底しているため、検査時間も項目も突出して多いと思います。今日は臨時検査だったので、約30分で終わりましたが通常検査の場合は2時間かけて、さらにじっくり調べます。他の企業では通常検査が約30分間ですから、およそ4倍かかるわけです。

 ただし、そこまでやっても異物混入を100%防ぐのは難しいんですよね。大勢の人が関わる以上、何かしらのミスや事故は起こります。ただ、第三者によるチェクが入ることは、ミスをあらかじめ予見し、最小限に抑えることにつながります。ふとした気の緩みや見逃しなどが起きないよう、目を光らせ、リスクをゼロに近づけていくのが我々の仕事なんです」(鈴木さん)

食品衛生にかかわる様々な記録が保存されたファイル
 仮に、1店舗で年に1件、何かが混入するだけで、マクドナルド全体で年3000件に達してしまいます。外食産業全体で見たら、数十万件になってしまうでしょう。それを防ぐ「第三者機関」の役割は、今後ますます高まっていきそうです。